日本車危うし

随分と更新が滞り、いつものことながらまたお彼岸を迎えようとしています。
こんなことばかりを言っていますが、今年は3月の東北の大津波や、今月の紀伊半島
を襲った台風の大雨による水害など、水の恐ろしさをイヤというほど見せつけられる
水難の年になってしまいました。

昔から治水は国家の大事業と言われますが、今年の水害を見ていると”水を治める”
なんて人間の思い上がりも甚だしいと思ってしまいます。
我々の制御出来るエネルギー量を遥かに超えておりますね。
来週にも接近が予想される台風も、できればサッと通りすぎてちょうだい、と
祈るばかりです。

・・

今年は自然災害に加えて、人間の経済活動にもまた大きな”災害”とも言うべき
実力以上の円高が日本の経済を苦しめてもおります。

まあ、日本が工業製品の輸出大国になった数十年前から、この円高との戦いは日本の
方向を狂わせてきたように思えてしようがありません。

少し前、1ドル200円だった時代は日本製乗用車は相当の価格競争力がありました。
日本車の輸出のおかげで米国デトロイトでは日本車は焼き討ちに遭ったり、ひっくり
返されたりしてましたね、よく。

それで米国はこれじゃ勝負にならんとばかり、ドル安を容認しました。
1ドル200円が1割円高になると、日本の会社はその1割をコストダウンして凌ぐ
ようになり、2割円高になればまた残業して2割コストダウンをして凌ぎ、
どこまで行っても日本は潰れないので、ついに1ドルは100円になってしまい
ましたが、それでもトヨタやホンダは巨額の利益を上げていました。

世界も不思議だったと思いますね。どれだけ円高にして苦しめても、しばらくすると
平気な顔してコストダウンで乗り切ってくるわけですから、一体全体日本人ってのは
どうなってんだ? と思ったはずです。

しかししかし、これでもかこれでもか、と円高で苦しめられてもコストダウンで耐えて
きたものの、

1ドル77円になったら、さすがの日本人もプツンと切れてしまった・・

こうなるとつらいです、なにせここ20年来、コストダウンしかしてこなかった。
(言い過ぎですけどね、半分本当です)
商品開発の時点で、「コストダウン」が第一義に来るようになったらモノづくりは
おかしくなります。

日本車ほど安いマーケットに生きていない欧州車が、彫刻刀で削るようにプレスライン
をもぐっと彫りの深い造形にしているのを横目に、日本車はプレスの型までコストダウン
にしなきゃいけないおかげで、何だかのっぺりした造形になってしまって、
造形美もヘッタクレもないような貧相なプレスラインになっていったり、いったいこの
メーターから何から何まで、コストのことしかアタマにないのか?と思わせるような
製品が溢れかえっていますもんね。

私も5月の韓国へ行ってきて、ヒュンダイ恐るべしと思っていたら案の定・・
9/16のMSNニュースで愕然であります。

 

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